こんばんは、ANRIです。今夜は、いよいよ大詰めとなってきた私の
ニューアルバムについて、お話ししていこうかなと思っています。
まずはですね、今日はアル・ジャロウのこのナンバーから聴いて
いただきたいと思います。「ムーンライティング」

AL JARREAU / Moonlighting (Theme)
                          from “Best of Al Jerreau” (1996)

はい、今日の一曲目なんですけれどもね、アル・ジャロウで「ムーン
ライティング」を聴いていただきました。なんか懐かしいっていうかね
すごく、ライブっぽいサウンドなんで、最初これライブのレコードかな
なんて思ったりしたんですけれども。どうやら違うみたいで。いい
ですね、こう温かみのあるサウンド、アル・ジャロウらしいっていう
感じがしますけれども。

さて、ニューアルバムのお話をここでしたいと思います。あの、そも
そもね今年は、ふつうのオリジナルのアルバムとはちょっと違った
企画アルバムをね、出したいということで、春夏に1枚そして秋冬に
1枚、それぞれの季節にあったアルバムを作るというのが、今年の
初めに決まっていまして、5月に春夏バージョンとしてはね、ラテン・
テイストを中心としてこの番組のタイトルでもある、「スムース・
ジャム・アスパシア」をリリースしたんですけれども。

あのアルバムは私のね、大好きなアル・ジャロウのバンド・メンバー
を迎えてレコーディングをしたんですが、とてもライブ感があったと
いうか。この番組でも何度か、この「スムース・ジャム・アスパシア」
のお話もしたと思うんですけれども。生身の人間がね、プレイをする
温かみのある音作りっていうのをね、したくて、アル・ジャロウの
メンバーを迎えてレコーディングをしたわけなんですけれども。

今回のレコーディング、企画アルバムということで、カバー、いろんな
アイディアは出たんですけれども、スタッフとみんなでミーティングを
したりして、カバーにしようっていう。カバーでも最近いろんなカバー
企画モノで出ていますけれども。今回はね洋楽、自分が今まで
聴いてきた60’そして70’、80’の洋楽のマイ・フェイバリット・
ソングスじゃないですけれども、好きな思い出に残っている楽曲を
チョイスしまして、それをカバーで私がANRIバージョンで歌うという
ことなんですけれども。

あの、オリジナルが今回はないんですが、このアルバムをこっちで
いろいろとミーティングしているうちに、リー・リトナーさんが、「じゃあ
僕がプロデュースするよ」っていう話になりまして。なかなか、カバー
をね、ビッグ・ネームのプロデューサーというか、ミュージシャンに
お願いするっていうのもなかなか今まではね、なかったんです
けれど、今回はとってもラッキーなことに、リーさんがプロデュースを
してくれることになりました。

で、このプロデュースってね、また日本とアメリカのプロデュースの
役割ってけっこう違うなって感じたのは、彼が全部ね、ミュージシャン
のスケジュール・ブッキングですか、全部自分で電話をひとりずつ
して、ギャラの交渉から(笑)スタジオのブッキング、押さえから全部
やってくれたんですね。で、彼はわりと自分でいろんな人のプロデュ
ースとか自分のアルバムのプロデュースをしているんですけれども
わりと、本当の意味でのプロデューサーですよね。私も学ばなけれ
ばいけないな、なんてすごく思ったんですけれども。

で、今回サンセット・サウンドっていうスタジオでレコーディングを
しまして、このサンセット・サウンドっていうのはね、リー・リトナーさん
がやはり選んだスタジオなんですけども。「なぜここのスタジオにした
んですか?」っていう質問をしたところ、彼は「もう30年ぐらい僕は
ここのスタジオを使っている」っていうふうに言ってまして。特に、
このサンセット・サウンドのスタジオ、2スタジオってあるんですね。
そこは特に音の音色がとてもいいっていう、とても温かい、ライブを
録る時はすごく、最高にいい音が出せるスタジオだっていうことで、
彼がとても気に入っているんですね。

で、他にもいろんな有名なアーティストたちが、本当にビックなヒット・
ソングをね、生み出したスタジオだっていうことで、スティービー・ニッ
クスとかね、あとはディブ・グルーシンとか、もちろんリー・リトナー
あとはそれよりもたくさんいろんなアーティスト、インストゥルメンタル
以外ボーカルリストもの以外のものも、もちろんそこでずいぶん
レコーディングしているらしいんですけれども。

サンセット・サウンドって聞いた時、なんとなく記憶があった。実は
私はサンセット・サウンドでレコーディング、昔10何年前にしていた
っていうのを、まあ、リーさんからスタジオの場所を聞いた時に、
初めて気づいて。スタジオの中に入って、どこのスタジオだったか
忘れてしまっていたんですけど、まあ2スタでレコーディングをして
いる時に、ちょうどオーナーがね、オーナーの方がスタジオの中に
挨拶をしに来たんです。で、その時に、紹介をしてもらって、名前を
言ったところ、「あ、ANRIだろ?」って(笑)オーナーの人が名前を
覚えていてくれまして。それもですね、けっこう具体的なミュージシャ
ンの名前とかまで覚えてまして。なんて私は情けないんだろうと、
本当にもうね、記憶力がね、ずいぶん、衰えてしまったというか(笑)
とっても情けない感じがしたんですけれども。

ま、でもね、とっても懐かしかったですね。私も10何年前にレコーデ
ィングをした時にね、ちょうど、シーラ・Eがね、レコーディングで参加
してくれたり、とっても大変なスケジュールの中でレコーディングを
したのを覚えていますね。たしかね、「マインド・クルージング」だと
思うんですけども。すごく、なかなか贅沢な、いいレコーディングを
した記憶があるんですけれども。あの、まあこのスタジオ自体もね
なんて言うんでしょうかね、30年間ずっと変わってないんですよね。

全然、こう30年前にそのスタジオが出来てそれ以来、一度も内装と
いうかリフォームされていないっていうことで、本当にもう昔からある
スタジオっていうね、すごく温かみのあるなかなか、ああいうスタイル
のスタジオっていうのもずいぶん減ってきてしまっているので、
どちらかと言えば近代的なスタジオ、わりとコンクリートのうちっぱな
しとか、ずいぶん音色も変わってきていますよね。なんかこう、
久しぶりに、サンセット・サウンドに行って、自分の音楽のバイブって
いうんでしょうかね、エネルギーを久しぶりに吸収できたような気が
しましたね。

ということでですね、ここでリー・リトナーの曲を一曲聴いていただき
たいと思いますけれども。これは、80年代の前半にもう大ヒットした
曲で、私もとってもよく覚えています。この曲もですね、リー・リトナー
さん曰く、サンセット・サウンド・スタジオの2スタでレコーディングを
したという。やっぱりエネルギーがある曲ですよね。今でもこっちの
方では毎日かかっていますけれども。「イズ・イット・ユー」を聴いて
ください。

LEE RITENOUR / Is It You  from “RIT” (1980)

はい、えー、リー・リトナーで「イズ・イット・ユー」を聴いていただきま
した。いいですね、このサビの「♪イズ・イット・ユ〜」っていうのがね
すごく耳に残ってるんですけども。えっと、今回カバーということで
全曲洋楽ですよね。英語で歌わなきゃいけないんですけれども。
はっきり言って、大変です。英語はね、よく「ANRIさんは、英語は
ペラペラなんでしょ?」って言われるんですけど、全然ペラペラじゃ
なくて。もう本当に私は、レイジー(lazy)な性格なんで、なかなか
英語もちゃんと勉強していないんですけれども。そのしていないのに
英語をね全曲英語で歌うっていうのは、どういうことなんだ?!(笑)
っていう感じで自分で思ったりもするんですけれども。

ひじょうにね、やはり音楽をやっているっていうところで、私自身も
いろんな意味で勉強させてもらってます。で、今回もね、洋楽を全曲
歌うっていうことで、ひじょうにその英語の発音だったり、そうですね
歌い方、フィーリングっていうのかな、本当に勉強になりました。
で、今回ね、レコーディング自体は、サンセット・スタジオでまず、
バンドとのトラックを録って、そして2日目はまたシンセサイザーのね
オーバー・ダブ(重ね録り)とかしまして、2日間ほど、サンセット・
サウンドでレコーディングをしまして、で、そのあとはですね、レコー
ディングは、歌入れはですね、実はL.A.の自宅でやりました。

L.A.の自宅でやるっていうと、とても贅沢っていうふうに、リッチな、
なんてイメージがあると思うんですけど、わりとこっちの方では、もう
アーティスト達は逆にそのスタジオでレコーディングをする方が今は
すごく贅沢というか、コストもすごくかかるんですよね。あの、今回は
そういうこともみんなで考えて、なるべくまあ、そういうコスト的なもの
というよりも、リー・リトナーさんのアイディアで、ボーカルをね、入れ
るんであれば、リラックスした、一番自分がリラックスできる場所で
歌入れをした方がいいんじゃないかという彼のアイディアで、そう
ですね、彼のスタッフ、リー・リトナーさんのレコーディング・チームを
みんなこっちに家に呼んで、そして、機材ですね、プロトゥールズ
(ProTools:degidesign社が開発したハード・ディスク・レコーディン
グ・システム、要は、パソコンに記録された音を編集できるツール)
とかいろいろ使ってるんですけれども。全部リビング・ルームに
持ってきて、そして私はベッド・ルームでお歌を録ったという、そんな
感じのレコーディングになったわけなんですけども。

そうですね、自分の家で自分の部屋でね、歌入れをするっていう、
本当にこんなにリラックスできるものなのかと思うくらい。逆に、こう
落ち着かないんじゃないかな、なんて思ったんですけれどもね。でも
なかなかこういうレコーディングっていうのもね、すごく、まあ
これからもたくさん、増えてくるんじゃないかな、なんて思うんです。

えーそういうこともあって、大掃除も大変でしたけどもね(笑)。あの、
掃除は嫌いな方じゃないんで、久しぶりになんかこう、部屋の中、
ちらかしっぱなしっていうのはしないんですけれども、久しぶりに
整理整頓ができたかなっていう(笑)。ちょっと、部屋の中の内装って
いうんでしょうかね、家具の位置をちょっと変えてみたりとか、なんか
そういう、ちょっとキャンドルをね、増やしたりとか、ちょっとこう家の
中の、部屋の中の整理整頓っていうんでしょうか、が、出来たのが
よかったかな、なんて思っているんですけども。えーまあ、そんな
今回はね、レコーディングそのものは、とても暖かい雰囲気の中で
スタートして、そしてほとんど、ほぼね、ミックスも終わりということ
なんですけれども。

それでですね、あとジャケット、みなさん気になると思うんですけれど
私もジャケット、いつも悩みます。で、今回もまた、シリーズなんでね
「スムース・ジャム・アスパシア」と引き続き、同じカメラマンにまた
撮っていただいたんですけれども。えーっと、イメージ的にはちょっと
工夫を凝らしてみました(笑)。なんか今回ね、ジャケットもそうですし
あとは、カバーっていう部分で、楽曲の選択っていうのかな、そういう
部分はとっても興味深い感じがあるような気がします。

私自身も、レコーディング中もとってもなんかこう、充実していて何の
ストレスもなく、とてもリラックスした状態で、レコーディングができた
ので、絶対にそういう気持ちって、音につながっていくし、そういう
環境の中でねレコーディングしたっていうのがみなさんに少しでも
お伝えできたらといいな、なんて思っています。

ANRI / D.J.I LOVE YOU  from “OPUS 21” (1995)

はい、ワタクシANRIで「D.J.I LOVE YOU」を聴いていただき
ました。さて、Dolphin Hearts ANRI SMOOTH JAM 今夜もロスから
お届けしてきました。今日はですね、レコーディング中のアルバムに
ついてお話してきたんですけれども、出来上がり次第、この番組で
いち早くオン・エアーしていくつもりなんで、ぜひ、お楽しみにして
ください。

で、今回のですねアルバムのジャケットのイメージなんですけれども
さっきもちょっと、ちらっとお話したんですけれども、前回が、そうです
ね、赤いイメージがありましたけれども、今回もいちおうシリーズと
いうことで、ちょっと赤っぽい感じはあります。でも、そうですね、
とても冬っぽいANRIっぽくない冬っぽさっていうのかな(笑)、変です
けど、なんかそんな感じで。ジャケットってなんかこれは、なかなか
こう言葉で説明するのって難しいですよね。だから、見てのお楽しみ
ですね(笑)。ぜひ、楽しみにしていてください。なんか、多分見たら
「おお〜!」っていう感じだと思います(笑)。わかんないけど(笑)。
どうでしょうか。

えーっとさて、今日最後に一曲みなさんにお送りする曲なんです
けれども、これはですね、私は全然知らなかったんですけれども、
ロスに今回のこのラジオのね、録音のために来てくれたスタッフが
ラジオ、FM局で聴いて気に入った、ということで、タワー・レコードに
行ってわざわざ買ってきたんですね、今日。まあ、それをちょっと
かけてみたいと思います。ジェフ・カシワで「スリー・デイ・ウィーク・
エンド」を聴いてください。お相手はANRIでした。

JEFF KASHIWA / 3-Day Weekend  from “Simple Truth” (2002)